高電圧増幅器
定電流動作のための正帰還回路
定電流動作を実現するための正帰還回路の特性を検討します
Fig 114-1
PAGE113-1の定電流回路で、抵抗R51、R54からの帰還(正帰還)を切断し、ここに信号を入力したものです。
ここでは、正帰還回路の開ループの周波数特性を確認します。
Fig 114-2
赤:R501=1000kΩ、 C501=10pF (回路図の定数)
青:R501=100kΩ、 C501=10pF
R501=1000kΩ、100kΩにおける入力信号に対する出力信号の周波数特性です。
低域では入力と出力が同相ですが、出力信号の振幅が僅かに0dBを下回るので、元の定電流回路が発信することはありません。
R50で分割されるのでR501が小さくなるほど、つまり負荷が重くなるほど振幅が0dBより下がってきます。
この周波数特性は、高電圧増幅器の(Fig52-6の)帯域26kHz(-3dB)より1桁以上広帯域となるようC53、C54を調整し帯域を広げています。
Fig 114-3
赤:R501=1000kΩ、 C501=10pF (回路図の定数)
緑:R501=1000kΩ、 C501=100pF
C501=10pF、100pFにおける入力信号に対する出力信号の周波数特性です。
10kΩの電流検出抵抗R51があるため、これと100pFの容量性負荷C501が周波数特性に大きく影響していることが分かります。
Fig 113-4
赤:C53=10pF、 C54=270pF (回路図の定数)
茶:C53=120pF、 C54=0.1pF(非実装と同じ)
茶の周波数特性はC53=120pF、C54が無いときの入力信号に対する出力信号の周波数特性です。
(R51=R52=5000kΩ、C51=C52=1.2pFの場合、R53=50kΩであれば、C53=5000kΩ*1.2pF/50kΩ=120pFが周波数に影響されない
一定の分割比201:1になる。)
この振幅特性のカーブは高電圧増幅器の周波数特性(Fig52-6)のカーブそのものです。
正帰還回路の周波数特性が、一見するとこの茶の帯域(C53=120pF、C54=非実装)でも良さそうに思われますが、この帯域では不十分で
定電流回路としての応答波形が非常に悪いものとなってしまいます。