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高電圧増幅器

出力段mosFET 2段構成 その1

高電圧増幅器を出力段mosFETの正側、負側を2段で構成した回路とその問題点を検討します

 
 
 
Fig 21-1

±1kV出力の高電圧増幅回路Fig12-2を2倍の±2kV出力とした回路です。
Fig12-2回路の出力段mosFETを単純に正負各2段(正側Q101、Q102と負側Q201、Q202)に増やしたもので、各mosFETには最大2kV
の電圧が加わります。
mosFETのゲート電位を決める抵抗R101、R102、R201、R202はFig12-2と同じ5MΩです。
従って、Q101、Q201のゲートは5MΩ//5MΩ=2.5MΩでドライブされていることになります。
 
 
 
Fig 21-2
 Q101-G:Q101のゲート波形  Q201-G:Q201のゲート波形

20Hz、±10Vpk正弦波入力に対する±2kVpk出力波形です。
周波数が20Hzと低いので、Q101-G、Q201-G 及び出力の波形は、ほぼ同位相に保たれています。
 
 
 
Fig 21-3
 Q101-G:Q101のゲート波形  Q201-G:Q201のゲート波形

200Hz、±10Vpk正弦波入力に対する±2kVpk出力波形です。
周波数が20Hzから200Hzに上がると、Q101-G、Q201-G 及び出力の位相にズレが生じてきています。
そのため、出力が+2kV(-2kV)に近づくとQ101-G(Q201-G)との電位差が確保できなくなってきています。
 
 
Fig 21-4
 Q101-G:Q101のゲート波形  Q201-G:Q201のゲート波形
 
400Hz、±10Vpk正弦波入力に対する±2kVpk出力波形です。
Q101-G、Q201-G 及び出力の位相ズレが更に大きくなり、出力が+2kV(-2kV)に近づくとQ101-G(Q201-G)との電位差が確保できず
出力波形がもはや歪んでいます。
これは、正側のQ101とQ102 及び、負側のQ201とQ202の電圧バランスが崩れて、均一ではなくなっていることを示しています。
原因はQ101、Q201の(数百pF〜数千pFある)ゲート入力容量を2.5MΩの大きな抵抗値でドライブしているためです。
高電圧化のために複数のmosFETを多段接続した回路は、Fig12-2のような正負各1段の回路に比べると格段に難しくなります。