高電圧増幅器
GSBコンデンサによる高電圧増幅器の性能改善
出力段mosFETを2段接続した場合の問題を解決する
GSBコンデンサ(ゲート・ソース ブリッジコンデンサ)
の働きを説明します
Fig 31-1
本来、正側のmosFET Q101のソース(ゲート)と負側のmosFET Q201のソース(ゲート)間の電位差は、任意の出力電圧に対してほぼ一定な電圧を保ち続けます。
そこで考案されたのが、
コンデンサC152を通して低インピーダンスであるQ101のソースが高インピダンスであるQ201のゲートを
同様に、
コンデンサC151を通して低インピダンスであるQ201のソースが高インピダンスであるQ101のゲートを
ドライブする回路です。
コンデンサC151、C152の容量値は1000pFほどあれば機能します。
ここに使うコンデンサは高耐圧品で高価であり、また、一般的に容量値が大きくなればなるほど、耐圧は小さくなります。
そこで、C151、C512は、効果を損なわないぐらいまで容量を抑えた高耐圧コンデンサを選択します。
抵抗R101、R102、R201、R202はFig 21-1回路と同じ高抵抗値5MΩですが、更に大きな10MΩぐらいの抵抗値にすることもできます。
これらの抵抗値を大きくすることは、電力損失を小さく抑えられることは勿論のこと、物理的に小さなサイズにすることが可能になります。
これらの抵抗をリード品から物理的に小さな面実装品に置き換えられ、他の部品や金属ケース間のストレー容量を減らし性能劣化を抑えることができます。
Fig 31-2
Q101-G:Q101のゲート波形 Q201-G:Q201のゲート波形
4kHz、±10Vpk正弦波入力に対する±2kVpk出力波形です。
Q101-G、Q201-G 及び出力の位相にズレがなく、周波数が4kHzでも出力波形は歪んでいません。
Fig 31-3
I151:C151の電流波形 I152:C152の電流波形
4kHz、±10Vpk正弦波入力に対する±2kVpk出力時のC151、C152に流れる電流波形です。
ここにI151、I152の電流の方向は
I151は、Q101のゲートに流れ込む方向が正
I152は、Q201のゲートに流れ込む方向が正
です。
I151が増加している半サイクルでI152は減少サイクルであり、逆に、I151が減少している半サイクルのときI152は増加サイクルにあります。
また、電流I151とI152の振幅はほぼ一致しています。