高電圧増幅器
GBコンデンサによる高電圧増幅器の性能改善 その1(2段接続)
出力段mosFETを2段接続した場合の問題を解決する
GBコンデンサ (ゲート ブリッジコンデンサ)
の働きを説明します
Fig 32-1
Fig 31-1の回路でC151とC152の電流は等しく、その増減方向が互いに逆の関係にあります。
そこでFig 31-1を更に進化させたものが
Q101のゲートとQ201のゲートがC150を介してお互いにドライブし合う回路です。
Fig 32-2
Q101-G:Q101のゲート波形 Q201-G:Q201のゲート波形
4kHz、±10Vpk正弦波入力に対する±2kVpk出力波形です。
Q101-G、Q201-G 及び出力の位相にズレがなく、周波数が4kHzでも出力波形は歪んでいません。
Fig 32-3
I150:C150の電流波形
4kHz、±10Vpk正弦波入力に対する±2kVpk出力時のC150に流れる電流波形です。
ここにI150の電流の方向は
Q101のゲートに流れ込む方向が正
です。
I150の正の半サイクルではQ101のゲートが必要とする電荷をC150から供給を受け、負の半サイクルでは不要になった電荷をC150に戻しています。
Q201のゲートは、I150の正の半サイクル、負の半サイクルでの電荷が、Q101のゲートのときとはまったく逆向きの流れとなります。
この電流波形I150は、Fig 31-3の電流波形I151と一致し、出力波形とは90°の位相差があります。
出力が-2kVから+2kVに到達するまでの間はI150の正方向の電流によってQ101のゲートに電荷をチャージし続け、ゲート-ソース間電圧を上げますが
出力がピークの+2kVに達すると、Q101のゲートに電荷をこれ以上チャージする必要がなくなるので、そのポイントで電流I150は0となっています。
出力が+2kVから-2kVに到達するまでの間は電流や電圧の関係が逆になります。
また、I150の電流とQ201の関係も同様です。
Q101、Q201のゲートをドライブしている電流I150は、コンデンサC150を充放電しているだけなので損失とはなりません(0ではないが)。
従って、極めて効率的にゲートを高速ドライブ出来ていることになります。