高電圧増幅器
GBコンデンサによる高電圧増幅器の性能改善 その2(3段接続)
出力段mosFETを正負各3段で構成した
GBコンデンサ
の働きを説明します
Fig 33-1
mosFET正負各3段ので構成した±3kV出力の高電圧増幅器です。
Q101のゲートとQ202のゲート間にGBコンデンサC151が、また、Q102のゲートとQ201のゲート間にGBコンデンサC152が設けられています。
任意のnについて
mosFETの接続段数をn段に増やし、GBコンデンサを(n-1)個設けることで、更に高電圧化、高耐圧化することが出来ます。
Fig 33-2
Q101-S:Q101のソース波形 Q102-S:Q102のソース波形
Q201-S:Q201のソース波形 Q202-S:Q202のソース波形
+HVps :+3100V高圧電源 -HVps :-3100V高圧電源
5kHz、±5Vpk正弦波入力に対する±1.5kVpk出力時の各mosFET ソースと出力の波形です。
正側mosFET Q101のソース電位Vs101と負側mosFET Q202のソース電位Vs202との電位差(Vs101-Vs202)は、常に一定値aを保っています。
正側mosFET Q102のソース電位Vs102と負側mosFET Q201のソース電位Vs201との電位差(Vs102-Vs201)は、常に一定値bを保っています。
ここに、一定値aと一定値bは異なりa≒2bの関係にあります。
従って、GBコンデンサC151とC152に要求される耐圧は異なります。
Fig 33-3
Q101-S:Q101のソース波形 Q102-S:Q102のソース波形 Q201-S:Q201のソース波形 Q202-S:Q202のソース波形
Vds101:Q101のVds Vds102:Q102のVds Vds103:Q103のVds
Vds201:Q201のVds Vds202:Q202のVds Vds203:Q203のVds
+HVps :+3100V高圧電源 -HVps :-3100V高圧電源
5kHz、±10Vpk正弦波入力に対する±3kVpk出力時の各mosFET ソースと出力の波形です。
正側mosFET Q101、Q102、Q103のドレインーソース間電圧Vds101、Vds102、Vds103が均等に配分(バランス)されています。
Vds101≒Vds102≒Vds103=Vds1は、入力信号に応じて変化します。
負側mosFET Q201、Q202、Q203のドレインーソース間電圧Vds201、Vds202、Vds203も均等に配分(バランス)されています。
Vds201≒Vds202≒Vds203=Vds2も、入力信号に応じて変化します。
このように正側、負側で個々のmosFETに加わる電圧が崩れることなく均等にバランスしています。
各mosFETは数kVの電位が変化しているので、高電圧増幅回路をシールドケースに収めるときのケース間とのストレー容量には注意が必要です。
(通常はGNDに落とされている)シールドケースとmosFET間のストレー容量が悪影響して、特性を劣化させます。
とくに出力に近いQ102(Q201)が高圧電源側に近いQ101(Q202)より2倍電位変動(振幅)があるので、その影響が2倍になります。
これらのことは、mosFETのみならず、その周辺(C,R)部品についても同様です。
Q103は出力に近く、他のmosFETに比べて電位変動が大きいですが、低インピーダンスでドライブされているので影響は比較的軽微です。