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高電圧増幅器

ブースターアンプ部の静止電流

高圧電源の容量は限られています
出力ワット数が同じであれば、高電圧化すればするほど、出力電流容量は
小さくなります
ブースタ-アンプ部の多段mosFETに流れる静止電流を抑えて高効率化を検討
します

 
 
 
Fig 53-1

Fig51-3の回路における抵抗R2の値を4.7kΩから5.6kΩに大きくし、抵抗R101に流れる静止電流I101を抑えた回路です。
R2は、ゼロクロス歪を抑えるために必要な抵抗です。
0V入力時に+15V電源からR2を通してフォト・カプラーU101にバイアス電流を供給しています。
 
 
Fig 53-2

 
0V/1Vpkパルス入力に対する抵抗R101に流れる電流I101の応答波形です。
R2の抵抗値を4.7kΩから5.6kΩに上げて、0V入力時の静止電流I101を750uAに抑えています。
 
 
Fig 53-3

抵抗R6、R7を5.6kΩに上げQ101〜Q103、Q201〜Q203に流れる静止電流を下げ
また、静止電流を小さくしたためC1=6pF、C2=C3=1.5pFとし、高電圧増幅器としての帯域を21kHzに狭めています。
 
 
Fig 53-4

  :抵抗R104に流れる電流I104  :抵抗R500に流れる出力電流Iout  :抵抗R204に流れる電流I204
 
負荷容量C501=10pにおける±10Vpk、200Hz正弦波入力に対するI104、I204、Ioutの電流波形です。
200Hzであれば、I104、I204とIoutは、ほぼ同位相となります。
尚、I104の最少電流(0V入力時と同じ)は約400uAに抑えられています。
同様に、I204の最少電流(0V入力時と同じ)も約-400uAに抑えられています。
 
 
Fig 53-5

 :抵抗R104に流れる電流I104  :抵抗R500に流れる出力電流Iout  :抵抗R204に流れる電流I204
 
負荷容量C501=10pにおける±10Vpk、2kHz正弦波入力に対するI104、I204、Ioutの電流波形です。
2kHzに上がると、I104、I204の位相よりIoutの位相が、このように遅れています。
 
 
Fig 53-6

 実線:振幅 / 点線:位相
  :OP AmpU1出力   :出力
 
Fig53-3の周波数特性です。
これから分かるように、周波数2kHzでのOP AmpU1出力はの高電圧増幅器の出力より位相が進んでいます。
この特性から、Fig53-5におけるI104、I204の位相(これらはOP AmpU1出力と同相)とIoutとの間に位相差が生じている理由が分かります。
 
 

 :抵抗R104に流れる電流I104  :抵抗R500に流れる出力電流Iout  :抵抗R204に流れる電流I204
 
負荷容量C501=220pにおける±10Vpk、2kHz正弦波入力に対するI104、I204、Ioutの電流波形です。
負荷容量が大きくなり出力電流Ioutの位相が遅れるため、I104、I204の位相に近づいています。