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高電圧増幅器

位相補償

ブースターアンプ部の帯域を維持し増幅器の発信を防止するための位相補償を検討します

 
 
 
Fig 41-1

BoosterAmp部はFig32-1と同じ回路です。
この回路の周波数特性を確認した後、位相補償を行いその効果を検証していきます。
 
 
Fig 41-2

 実線:振幅 / 点線:位相

位相補償を行っていないFig41-1の回路の周波数特性です。
BoosterAmp部の理想的な特性は、低圧電源で動作するOP Ampに比べて十分に帯域が広く位相遅れが生じないことです。
実際には、このように1kHzあたりから徐々にゲインが落ち始め、位相が遅れてきます。
多くの場合、何も対策を施さなければ増幅器として安定に動作せず発信してしまうため何らかの位相補償が必要となります。
或いは、高電圧増幅器の帯域を極端に狭くして発信を防止せざるを得ず、これではGBコンデンサの特徴を有効に発揮することが出来ません。
 
 
Fig 41-3


Fig41-1の回路に正側をR114、C114 及び、負側をR214、C214で位相遅れ補償した回路です。
 
 
Fig 41-4

 実線:振幅 / 点線:位相
  :回路Fig41-1の特性(Fig41-2と同じ)
  :回路Fig41-3の特性

40kHzぐらいから徐々に高域での振幅がの振幅に比べて小さくなり約6dB程ゲインを下げています。
10kHz〜4MHzの間で青の位相遅れが赤の位相遅れより大きくなってはいるものの
4MHzより高域ではの位相遅れがの位相遅れとほぼ等しくなり遅れが回復しています。
100kHzHz以上で、約6dB程度ゲイン余裕が改善されていることになります。
 
 
Fig 41-5

Fig41-3の回路に更に正側をR113、C113 及び、負側をR213、C213で位相進み補償を追加した回路です。
 
 
Fig 41-6

 実線:振幅 / 点線:位相
  :回路Fig41-1の特性(Fig41-2と同じ)
  :回路Fig41-5の特性

40kHz〜4MHzの領域での振幅がの振幅に比べて小さく最大6dB程度ゲインを下げています。
振幅が十分小さくなっている4MHz以上では、逆にの振幅がの振幅に比べて少し大きくなっています。
600kHzより高域での位相遅れがの位相遅れより最大30°ほど遅れが改善しています。
600kHz〜4MHzで、位相、及び振幅特性が改善されています。